ゲーム脳 マリーのアトリエ

 【マリーのアトリエ】というテレビゲームの中に、主人公のマリーが噴水の前で落ちているお金を見つける場面がある。周りには誰も見ている人はいない。

 その時、プレイヤーは【お金を届ける】【お金をネコババする】のどちらかを選択する事ができるのだが、【お金を届ける】を選択した場合、[モラル]というパラメータがアップして、マリーはちょっとだけ善人になる。【お金をネコババする】を選択した場合、ネコババしたお金を得ると同時に[モラル]のパラメータがダウンしてマリーはちょっとだけ悪人になる。

 マリーはテレビゲームの主人公なので、腕力や知識や素早さ、器用さ、モラルという人間としての能力や特性が、数値として表わされている。
 実際の人間の能力や特性は、単純に数値に置き換えられるほと単純なものではないが、もしも実際に噴水の前で落ちているお金を見つけたとしたら、【お金を届ける】【お金をネコババする】のどちらの行動をとったとしても、何も変化はないのだろうか。

 私は、変化はあると思う。
 人間にはマリーのように[モラル]というパラメータはない。しかし、一つのカテゴリに分類する事のできない、パラメータのようなものは確かに存在し、本人の自覚のないところでほんの少しだが変化していると思う。

 考え、行動し、感じ、反省し、後悔し、時には心に刻みつけ・・・etc。
 これまで生きてきた中での様々な経験ので、人の心や考え方はリアルタイムで変化していて、それらの蓄積が人格を形成しているのだと思う。

 日常の中の何気ないマイナスアクション。本当に些細な事であっても、もしそれが長年にわたって蓄積されてしまえば、その人の考え方や行動パターンに気付かないうちに大きなマイナスアビリティを与えてしまう危険があるのではないだろうか。
 逆に、日頃から小さくてもいいのでプラスアクションを心がける事で、考え方や行動パターンにプラスアビリティを得る事もできるとも思う。