金縛り

おかしい
 
眠ろうとすると
低い男の声、豪雨と地鳴り、複数の赤ん坊の泣き声なんかが耳元で
かましく聞こえてきやがる。
そのたびに金縛りで身体は固まり、腕に呼びかけて指を動かし、
なんとか解いてきた。

隣ではのん気に高木がいびきをかいて寝ている。
こんな誰かが普通にしていても、金縛りをかける主は
場違いさを気にしないのか。
今の状況を起こして伝えても、きっと真面目に取り合ってはくれないだろう。
 
クンクン・・・
なんだか生ゴミのような匂いがする。
腐った匂いではなく、シンクで水に濡れた野菜の皮などの匂い・・・
ここは寝室で、身に覚えもない。
 
そういえば先輩がいつだか言っていた
「幽霊は現れたときに生ゴミのような匂いがする」
 
思い当たって身震いした。
 
そのとき
隣で寝ていた高木が
ブウー
と屁をした。
 
 
・・・・
私は高木に寄り添い、
屁の匂いで身を清めた。